例えばさらさらの髪だとか、長い睫毛とか、
ふわっと香るいいにおい、とか。
そのすべてが愛しくて、だけど同じくらいに怖くて。
あのきれいな顔が俺のほうを見て蕩けるように笑うと、
身体が溶けてしまうんじゃないかと思うから。
ちゃんと目を見て話したいのに、まともになんか見れない。
笑い返したいのに、顔が強張る。恥ずかしくて、死んでしまいそうになる。
「(ほんまはちゃんと、すきやのに…)」
いつまでも、素直に気持ちを伝えられない。
こんなにかわいくない俺を、白石はどう思ってるんだろうか。
昼休み、ご飯を食べ終わったのを見計らうように携帯が鳴る。
メールを確認するや否や急いで立ち上がり、教室をあとにする。
すでにドクドクする心臓、
もつれそうな足をなんとか奮い立たせた。
ドアの前に立ち止まり、軽く二回ノックすると、中から扉が開いた。
「早かったやん」
室内に覗くきれいな顔の、唇が半弧を描いて笑いを浮かべる。
半ば睨みつけるように見上げれば、白石は少し困ったふうに眉を寄せた。
「(…そんな顔、させたいんとちゃうのに)」
どうしたらいいのか分からずにいると、
白石は固い丸椅子に座り、中へ入るよう促した。
保健室の中は空気がひんやりしていて、
無意識にひとつ身震いしたあとに真っ白いシーツのかかるベッドへ腰掛ける。
しばらく俯いて、ちらりと視線を上げる。
感情の読み取れない視線は、それでもじっと俺へと向けられていた。
沈黙がいたたまれず、なんでもいいから、と口を開く。
「なあ、こんな好きなように使うてええんか?ここ…」
「ええんや、委員やし部長やから」
「うわ…職権濫用や」
真面目な顔してムチャを言う相手に咄嗟に突っ込むと
やかましわ、と笑いながらスッとこっちに手を伸ばされる。
そのまま指は俺の喉元に這わされ、頸動脈へ沿って動く。
黙って挙動を見ていると、空いた方の左手がトンと俺の肩を押した。
「っ、」
抗うふりをしたのは表情だけ、たぶん呼び出されたときから
こうなるのは予感していたから。
ぱたっと素直にベッドに倒れ込む俺を見下ろす、白石の綺麗な顔にドキドキした。
本当、末期だなあ、とおもう。
唇が首筋に降りていって、きつく吸い上げる。
鬱血のあとが残るだろうけど、それも悪くない。
覆いかぶさるからだに下からぎゅっと抱き着くと、白石はまた柔らかく笑う。
「なんや、ユウジ。案外乗り気やん?」
「…ちゃうもん、ゆうたってもう、やめへんのやろ」
「よう分かっとるやんか」
いつもより少し悪戯な笑みを浮かべ、
小さい子にするみたいにいい子いい子と頭を撫でられる。
いっつもそう、こいつは人のこと子供扱いしすぎだ。
むっと頬を膨らますと、宥めるように唇へ優しくキスをされた。
…ほんと、ずるい。この男。
はだけた胸を舐められ、直接下半身をまさぐられて
体が大袈裟なほどに震える。
瞳がちらりとこちらを見て、けど動きは止まらず
白石の長い指は俺の気持ちいいとこを的確に攻めてくる。
「ん、は…っ」
「…ユウジ、胸好きやなあ」
「…っ、や、違、あっ…あ!」
笑って言いながら乳首を甘噛みされ、
堪え切れずに抑えていた声を上げてしまう。
その間も指先は執拗に性器を撫でてくるから、
次第に白石の手は俺の出したもので濡れていく。
「いや、っやぁ…」
「なんで?気持ちええやろ」
もちろん、もう俺より俺の体を知り尽くしているかもしれない
相手に触られて、よくないワケがない。
けれど、そんなこと恥ずかしくて言えなくて、ただただ愛撫に耐える。
「もうガチガチやで…いってええよ」
「や、んあ、あ…っ!」
耳元で優しく囁かれてしまうともうだめだった。
指先が先端の窪みをまるくなぞる。
あかん、と思った瞬間、白石の手の平どころか制服のカッターにまで白濁が飛ぶ。
しかも射精の途中に幹を更に扱かれて追い打ちがかかる。
「っあ、しらい…っ、あ、やあ、ん!」
「…めっちゃかわええ」
必死に首元へ縋り付くと、触れるだけのキスが唇へ幾度も降ってくる。
そのたび頬を、色素の薄い髪がさらさら撫でていった。
びくん、と全身が震えて続けざまに達すると、
自分の出した白いものが白石の首あたりにまで飛び散ったのが見え、
恥ずかしくて泣きそうになった。
汗ばんで上下する胸を、手の平がやさしく撫でる。
結局あのまま、保健室のベッドの上で最後までやってしまった。
多分もうとっくに5時間目の授業は始まっている。
白いシーツで二人くっついたまま、乱れた息を正す。
「ユウジ、」
「ーっ!」
ふいに名前を呼ばれて白石の顔が近づいてくる。
キスされる!と思いすぐに目をぎゅっとつむった…とほぼ同時に、
いきなり頬っぺたを抓られた。
「い…っ、」
何事かと薄く目を開けば、
すぐ目前に少し不機嫌そうな白石がいる。
「ーまたや」
「…え?」
「ユウジ、なんで俺が近づいたら目ぇつぶるん?」
聡い相手だから見抜かれてるだろうとは思っていた。
でも、いざ言葉にされると困ってしまう。
本当はもっと、ちゃんと向き合ってこの目で見たいのに。
じっと答えを待つ真剣な眼差しが心臓を射抜く。
だからつい、本音を言ってしまった。
「…白石がかっこよすぎるから、あかんねん」
「……はぁ??」
唖然となる白石をみてハッとするももう遅い。
時間差で羞恥心が込み上げてきて、手で赤らむ顔を隠す。
それで全てを理解したらしく、向こうで相手が笑ったのが分かる。
そっと、手の甲を指がなぞった。
「なぁユウジ。俺のこと好き?」
「……」
ほんの少し、小さく頷く。
手の隙間から白石の表情を伺う。
それは誰が見ても綺麗で整った顔、だけど。
その眼差しと笑顔だけは俺にしか向けられない、特別。
「…ー白石」
「ん?」
今ならきっと、目を見て気持ちを伝えられる。
余韻にまどろみながら、息を吸い込んだ。
このひとら学校の保健室でなにやってんの、というツッコミと、
とりあえず初めてのカプは保健室行っとけルールktkr、というツッコミのどちらを先に入れるか迷う感じですね。どうもすみません。
しかも肝心のとこを逃げてしまってすみません(^q^)もし次回があれば…次こそは本番を…!!
ていうか白ユウってこういうかんじでいいのかな…?痛いのとか酷いのは書けないのでとにかく甘く!とおもったら
ユウジが白石にベタ惚れになってもた…(^q^)(^q^)どなたか白ユウの正しい書き方教えてください。
21/09/16