やさしく後ろから抱きしめると、
小さなからだは抗うことをせず、少し首を傾げて微笑む。
なんてことのないその笑顔が、
今にも泣きだしそうに映るのは俺の右目のせいか、否か。
世界が醜く歪む。
前が、見えない。
思わず目を細める。
埋められない穴を補い合うように、
俺たちが相手のことを求めているのなら。
自分が彼にとって
決して報われることのない思いを抱えたまま、寄り掛かるだけの存在なら。
こんなに悲しく、不毛なことなんてないんじゃないか。
でも、それでも手のひらに触れるこのぬくもりを、
離したくない。離れたくない。
抱き合う間も視線はからだをとおり抜け、
本当は自分じゃない誰かの姿を夢見ているのかもしれない。
忘れることも忘れさせることもできないのなら、
いっそ「替わり」になるしか方法がないとしても。
いつかさよならを告げるその時、きみは泣いてくれるだろうか。
俺は消せない思い出として、心に深く残るだろうか。
ずきずき、痛む右目の奥が、
永久に消えない記憶を呼び覚ます。
未だうまく飲み込めない、罪悪感にも似た感情。
それとは違う、新たな地で育ちすぎたこの恋情が、
これほどまで自分を苦しめるなんて。
いっそこの身体に、致死にも近い傷をきみの手でつけられたなら、
互いに忘れ得ぬ存在になれるかもしれない、と。
胸に渦巻くどす黒い思いを秘めて、きみをぎゅっと抱きしめる。
「好いとうよ、ユウジ」
どうか大好きなきみの瞳の中に、俺の姿を映して。
END
原稿をしながら思うがままに書いたら、これ以上ないぐらい暗くなったちとユウ。
短くてごめんなさい。途中から自分でも何が言いたいのか分からなくなった><
ちとユウにはユウジには小春、千歳には橘さんという切っても切り離せない存在があって、
それでもなお、わたしは「ちとユウ」が好きだから・・・乗り越えなくてはならない。
きっとお互いすっぱり忘れてしまえるような感情じゃないんだろうな。恋より深く、友情より重い。
予想外の成長→相手への依存心。でもきっと幸せになれる方法を見つけられると信じてる。
H20/10/30