※ちとユウが高校生設定です。同じ高校です。
※ちょっとエロスですR15くらい。普通に2人ができてます。
高校生になってから、俺と千歳は一緒にいる時間が格段に増えた。
それは同じ高校に行ったことも勿論あるし、テニスをやめたこともあるし。
(もともと千歳は中学でやりたいことをやりきったらしいし、俺も小春以外とダブルスを組む気はなかった)
中学とは違いサボると留年する可能性があるから、千歳はちゃんと学校に来るようになった。
廊下ですれ違うたび、普段の考えの読めない無表情が俺にだけ分かる範囲で柔らかになる。
ゆるく弧を描いた唇に、馬鹿のように胸が弾む。
付き合ってもう半年が経つというのにいまだ慣れない自分と
相手の余裕との差に、ときどき腹が立つのも事実である。
一人暮らしの千歳の家は、学校の近くの小さなアパートの2階。
階段の辺りには猫が何匹か住み着いてる。
夕方に押しかけてそのまま泊まることもしばしばで、最近は親もなにも言わなくなった。
いっぺん千歳が親に会ったときにえらくきちんと挨拶などしてたから、妙に信頼されてるらしい。
「(こいつに俺…口にでけへんようなやらしいこと、されてんやけどなぁ)」
親には言えない、たぶん卒倒するだろうことを逡巡して、
食べ終わった食器の後片付けをする広い背中をじっと見た。
初めて体を繋いだのは冬のこと。
深々と冷える夜に暖かな部屋の中で、丁寧に丁寧に抱かれた。
同意の上だったしそうなることは嬉しかったけれど
とにかく死にそうに辛くて恥ずかしくて、子どもみたいに泣いた。あの日、この部屋で。
いま思い出しても走り回りたくなるくらい、情けない思い出である。
「なに考えこんどると?」
いつの間にか鬱々と悩みこんでいたらしい、
すぐ傍に千歳がきていたのに気付かなかった。
俺のトラウマ(あれは最大の衝撃だった)を知るよしもなく、
千歳はニコニコ微笑みながら、俺の髪を撫でている。
少し悩んで、俺は率直に答えることにした。
「んー、初エッチんこと」
「…っ!」
あまりにびっくりしたらしく、千歳は絶句したあとにちょっと噎せこんだ。
今度は俺から背中をさすってやると、しばらくしてから俯いた顔をあげた。
少し、顔が赤い。やることやるときはドSなくせして、変なとこでうぶなのがおもしろい。
「ど、どげんして、そんなこと…」
「んー、なんとなくやけど。ホンマしんどかったよなーと思て」
「う……」
あの日の翌日は体じゅうが痛くて動けなくなって、結局学校を休んだ。
ついでに千歳も休んで、かいがいしく俺を世話してくれたのも覚えている。
ちら、と横目で見ると、千歳は困ったように言葉を探していた。
たしかに辛かったし恥ずかしかったけど、嫌だったわけではない。
千歳とひとつになれたこと、男である自分の体を受け入れてくれたことも全部、
嬉しかった。
今もかわらずめいいっぱいの愛情を注いでくれる
千歳のことを、本当に好きだと思う。
「…ユウジ」
小さく名前を呼ばれ、自ら顔を寄せて厚い唇にキスをする。
ちゅっと音を立てて離れると、まるく見開いた瞳が目の前にあった。
かわいい、とおもってにっこり笑うと、お返しとばかりに苦しいほどぎゅうと抱きしめられた。
「…ユウジ、ユウジ、ユウジっ!」
「っは、もーきっついし自分、あほ!」
そのままばたん、と後ろに押し倒される。
そこは上手いこと布団の上で、敷布団に二人ぶんの体が倒れ込んだ。
あははと笑っていると唇を塞がれる。じゃれるのでなく、本気の深いキス。
舌が口の中をぐちゃぐちゃ掻き回す。
「んっ、んー」
「っ、ーん、ユウジ」
「…おん?」
「しても、い?」
お伺いを立てながらも千歳の指はすでに制服のシャツの隙間から潜り込んでいる。
迷いなく胸元をくすぐるように触られて、息が上がる。
俺のからだはもうとっくに、コイツに開発され尽くしてしまった。
「…ええ、よ」
なるたけ甘くなるように優しく答えて
覆いかぶさる千歳の首に手を絡めると、千歳はえらく余裕なさげに小さく笑った。
いつも俺ばっかり翻弄されるんだから、たまには俺が振り回したって罰は当たらないだろう。
「…ここって、声とかたぶん、筒抜けやんなぁ…」
沈黙と布擦れの音に耐え切れなくて、つい口を開く。
いまだにだんだんと服を脱がされてくときの気恥ずかしさは拭い切れない。
ムードもへったくれもないけど、千歳は咎めるでもなく、手は動かしながら壁のほうを見た。
「うーん…まぁ、そうたいね」
「いまさらやけどな」
「気にしやらんとね?」
「うん、けど自分ええん?男とデキとる、ってバレてまうで?」
「…そんなんよか、ユウジが他ん人から狙われんかが心配ばい」
真顔でそんなことをいう相手をア然と見つめる。
俺はれっきとした男だし、狙うとかあるわけないのに。
「おま、何ゆう、て…っ、んっ」
反論しようとあげた声は、シャツ越しに吸われた乳首の刺激で立ち消える。
布一枚を隔てたまま、かりっと歯をたてられるもどかしさに、思わず上がりかけた
嬌声を両手で押さえ込んだ。
「…こんなやらしか体で、こげんむぞらしか顔して。心配すんのも当然たい」
「っそ、んなん思うん、ジブンだけやで…」
「ふ、どうかなぁ」
ニヤリと笑う千歳の表情が、ヘタレていた顔からやらしいことする時のそれに切り替わる。
無意識に、喉がごくりと鳴った。
この顔をみるのが好きだから、いつまで経ってもエッチのたびにドキドキしてしまう。
それこそ初めてしたときと同じみたいに。
本当に厄介な相手を好きになったもんだ と今でも思う。
まあ、後悔はしてないのだけれど。
「…っんん、…っ、な、ん!」
「声、抑えんどいて…?」
嬌声が洩れる口を塞いでいた手を取り払われ、思わず上の千歳を仰ぐ。
悪戯をしかける子どものような、でも悪いことを企んでいる大人の表情。
「声、聞かれてもよかとやろ?ユウジの声好きやけん、もっと聞きたか」
「…!そ、れとこれとは…、あっ、ん!」
ズボンの上から股間をやんわり握られ、
下半身から駆け上がる快感と堪え切れない自分の嬌声に、頬がかっと熱くなる。
一見不器用にも見える千歳の大きな手の平は確実に
弱いところを狙って的確に刺激を与えてくる。
「や…っ!ち、と」
「…ご近所さんにユウジは俺のもん!ってこつ、分かってもらわんとね?」
「はっ、あ、アホ言うてん、な…!っあ、」
言葉尻に噛み付きながらも耐え切れなくて、声をあげてしまう。
そのたび、見下ろしてくる千歳の視線が妖艶に歪む。
「(うわ、アカン…ずるいわ、その顔。めっちゃカッコええ…)」
自分たちを包む雰囲気が淡い淡いベビーピンクから、ビビッドなピンクへと様変わりしてゆく。
さして広くも小綺麗でもない室内さえ、どっかのお城の中にいるかのごとく錯覚するのだから
恋とは恐ろしいものである。
視線が合って唇がふれるだけで、鼓動が弾む。
きっと今日もされるがままになるだろう。
「…千歳」
「ん?」
「…んと、気持ちくしてな」
ねだるような声音で伝えれば千歳はしばし絶句して、
黙ったまま上からぎゅうぎゅう抱き着かれた。
このままずっと二人で縺れあうように生きていきたい、と思いながら
赤く染まった千歳の耳に軽くキスをした。
ああ、そんな困った顔も好きで好きで仕方ない。
END
同じ時間
これは高校パラレル…と呼ぶのだろうか?勝手に同高、かつテニスやめちゃった設定にしてすいません。
デキてるちとユウの話は書いてて「バカップルこのやろう!」と思いつつも…しあわせです。うん、分かったからもう結婚したらいいよね。
ちとユウの初めてのときって千歳がめっちゃ丁寧に前戯しすぎてユウジがもうええわ!ってキレるほどだと思うんだ…
ていうかこれ裏に置くか迷ったんですけどやってないので(この言いぐさ)普通においてみました。
お互いに対してめろめろ〜なちとユウってかわいい!好き!結婚したらいいよね!(もういい)
H21/4/18